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――。





テスト終了早々に電車に乗り鎌倉を出る。
そこから更に乗り継いで、忘れ去られた公団住宅へ。
距離的には横須賀の方がよっぽど近かったが、何となく長く揺られたい気分だった。
学園が把握しているゴーストタウンには更に遠い場所も多くあるが、流石にそこまで行くと戻るのが面倒臭い。

適当に入った建物は、どうやらファックス棟だったようだ。
久々と言えば久々な場所だが、地図は頭に入って――いや、体が覚えている。
少し歩けば電子音と共に現れるゴースト。
無貌の男に蹴りをくれ、カッターナイフの柄でファックスを叩き壊して軸足を変えるとリリスの蛇を切り落とす。

テストの期間中も、自分には関係ないとばかりに普段通りの生活だったので鈍ってはいない。
どうせ進学など端から頭に無いし、多少やった所で赤点も追試も免れないならやるだけ無駄。
学校の勉強など何の役にも立たない等と言う気は無い、現実として上に立つのはそれらが出来る連中だ。
頭の悪い人間は搾取される様に出来ているのが世間で、それをどうこう言う気も無い。
ただ自分には頭を使う事は向いていないだけ。

泣き声を上げる地縛霊の顔面を殴り飛ばして黙らせた。
気色悪い色の髭紳士は風船を持つ手に切りつける。
途中にある番号入力式の扉の番号も、指先が覚えていたのか薄ぼんやりとした記憶を頼りに押せばあっさり開いた。
これはただの反復行動でしかなく、頭の出来など関係ない。
教え込めば猿でも同じ番号を押すことなど可能なのだから。

鬼によく似たゴーストの爪に軽く引っ掛かれながら、例えばこれが全て夢で明日になればこんな能力など失せていたら自分の日常は何か変わるのか、と考えてみる。
何も変わらない、と数秒で結論が出た。
ゴーストタウンに行く代わりに人の溢れる街に出て、死体を蹴り飛ばす替わりに生身の人間を殴り倒す。

自分の立ち位置に満足はしないが、上も目指さずに惰性で生きる。
衝動と感情と安っぽい矜持、自分の根底を作るものは何も失せはしない。

やがて上に行ける人間は自分と道を分かち、同じ所にいる人間は運の悪い順に世界から道を分かたれる。
真っ先に離縁通告を受けるのは自分かも知れない、それも分からない。
明確な人生プランを描いている人間ならばともかく、自分のような人間の先行きなどそれこそ何とか先は闇、という話だ。



先など考えるだけアホ臭いと、薄い刃で目前の人型の首をかっ捌いた。


さて、今日は何週して帰ろうか。
今必要なのは、体力と気分からそれを割り出す計算だけだ。
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気が向いたら。 別に面白かァねェぞ。
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砂川 義春
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